ターコイズ千夜一夜物語(0016)ターコイズ(天然石)の研磨法

当店において、過去多くのターコイズや天然石など半貴石を研磨してきました。今回はそのポイントをまとめてみましたので、ターコイズ千夜一夜の1ページとして参考になればと思います。

まずは、よく研磨される形ですが楕円形の「カボション」というドーム型で説明します。これに慣れたら多面体にチャレンジするのも良いと思いますが、いきなり多面体の研磨は個人的におすすめしません。なぜならば、このドーム型のいわゆるカボションは、1面を仕上げるという基本形です。多面体というものは、その面の数だけ直方体なら下部を除く5面を磨く必要があり、作業量は5倍になります。比例して、作業時間も5倍。30分でカボションを仕上げる技能があったとしても、その5倍150分(2.5時間)の研磨作業となるわけです。

慣れない作業を3時間やって1個磨いても、嬉しい<疲労感しか残りませんし、引き続きアクセサリーの制作を開始・・・って気力も失せている事になりかねません。研磨楽しいものです。まず、1つカボション慣れることです。石の上にも3年。せめて3年くらい研磨したら、多面体にチャレンジしてもいいと思います。まずは、機械に慣れるとと、研磨とは「キズをつける作業」だと身をもって覚える必要があるのです。

では、その流れですが、まず原石を割る、切るなどして適当なサイズ(アクセサリー上の大きさ、デザインのサイズ)を削りだせるギリギリの大きさ(無駄をなくすため)にスラビングします。つまり石のスライスですね。天然石の原石は、重さで取引きされます。最小限で研磨してしてこそ無駄のないプロの仕事となります。1つの原石からいくつカボションを切り出せるか?というのも売り上げや利益にかかわる重大な話です。

研磨を知らない人は、「このサイズで欲しい」と、自作の複製シルバー細工用の大きさを指定されたりします。それは無視してください。(笑)すべてを買い取る契約でもないかぎり、こちらの利益がなくなります。相手はあなたの損失計算などしません。己の利益を追求するお店や大手企業には要注意です。(なんとか市場とかモールなどお店の場所だけ提供するような会社は特に!ご注意を)

さて、話はそれましたが(苦笑)板状に切り出した時に、高さを概ね揃えます。私の場合は5~7mmとします。これは、アクセサリーにした時に5mmの覆輪と1mmのクッション材を使うのでそのぐらいがベストな見栄えになるという個人の経験則からです。これは慣れたら好きな厚みで良いと思いますが、石は低すぎても高すぎても見た目のバランスが良くありません。デザインをメモ書きしてそのイメージに合わせるというのがもっぱらのやり方ですが、それは人それぞれで良いと思います。

例)メモ書き1

例)メモ書き2

石が先か、デザインが先か・・・という話になりますが、石そのものを販売するのではなくアクセサリーにするという目的があるのであれば、先にデザイン画(メモ程度↑でよい)があるとよりイメージしやすいと思います。

では、ポイントを書いておきます。参考にしてください。

(ターコイズや天然石の研磨時の注意点)

半貴石であること。硬度(通常研磨機ではモース硬度7まで)、クラックが少ない、色合いが良い、色が濃い、不純物が少ない、透明度が高い などが適しています。

1)ヒビや劈開性(へきかいせい): 鉱物が結晶面で規則的に割れやすい性質)の有無。
2)色の良い原石: 研磨は石の美しさを出す作業なので良質の石を選ぶ必要があります。
3)キズ、不純物、色むらの有無。※そもそもその石が染め物ではない本物なのか?産地は?誰がいつ頃掘ったものかを確認できるかものか?(採掘地の確認)
ターコイズの場合不純物が全く無いものは逆に怪しい。母岩やクォーツ混入、マラカイト、パイライトなどが混じる方が多く信用できる(産地がわかりやすい)。
4)高価な石は、ロス(損失)を省くためトリミングに気をつけます。

スラビング( 原石を研磨する前に、適当なサイズに切断すること)
トリミング(スラビングした石板上にマーキングして必要な部分を取り出す線の外側を切断、または削ります。)#60、80などのメタルホイール又は砥石ホイール
グリンディング( 粗研磨、トリミングした石の角を取り形も整えます。
研磨の際に気を付けなければいけないのは、摩擦熱(高温)での変色や割れないように常に水で冷却しながら研磨を行うということ。)#220、#360などのメタルホイール又は砥石ホイール
サンディング(中~細研磨、石の表面を滑らかにする。意識するのは同じ深さのキズを表面にまんべんなくつけていく作業です。)#280、600、1200レジンホイール又は耐水ペーパー)
ポリッシング( 仕上げ研磨でカボション表面を仕上げます。)#3000 レジンホイール又は耐水ペーパー
ポリッシング光沢研磨(#14000 ダイヤモンドペースト使用 、磨き終えた石は硬度が低い石に傷がつくので小さな袋やケースに分けて保管します。小さな原石を研磨する場合は、木の棒の先に取り付け研磨する「ドッピング」という技法を用います。

こうしてカボションとなった天然石はパーツに固定されて始めて完成した装飾品や作品として世の中に生み出されることになります。
天然石の原石を研磨することで、1粒の宝石を原石から磨きだし、彫金で制作したパーツに固定して宝飾品に仕上げ世界に1つだけのモノを生み出していく。そんな新たな楽しみが目の前に広がります。

 

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